弁護士にトラブル解決を相談するも断られたケースとその理由を検証する

今日全国各地の多くの弁護士事務所が、無料相談を積極的に実施していますが、一方でトラブル解決を正式に依頼しても、引き受けを断られるケースが散見されています。相談者にとっては最後の頼みの綱が切られたも同然の、許されない対応と感じられますが、これも弁護士としての知識と経験に基づく冷静な判断です。

ここでは以下、代表的な事例を紹介しつつ、それらの理由を検証していきたいと思います。


相談者側の準備不足と姿勢に問題があるケース

法律の専門家である弁護士に相談すべきトラブルは、その詳細を問わず、いずれもが当事者にとっては深刻であり、一刻を争う点で共通しています。藁にもすがる精神状態で弁護士事務所に駆け込む相談者もみられ、こうした方々に共通するのが、理路整然と相談内容を伝えられない、いわゆる準備不足です。

無料相談は基本1人1回で制限時間が設定されており、この持ち時間を有効活用して問題解決につなげるためには、最初の段階で抱える問題の内容を正確に弁護士に伝え、アドバイスに冷静に耳を傾ける姿勢が重要です。ところが相談者のなかには、自身の不安定な感情がコントロールできず、不安や不満を独り語りで延々と弁護士にぶつける、相談ではなく「愚痴」「泣き言」に終始する人が見られます。

これでは弁護士としても助言の届けようがなく、時間切れとなれば言葉を選び、相談者にお引き取りいただかざるを得ません。これを「断られた」と解釈し、その事実だけを口外する、口コミサイトなどに書きこむケースも確認されています。

問題解決に向けての「相談」ができていない場合、弁護士からすれば「断ることもできない」のが正直なところであり、相談者側の姿勢に原因と問題点があるケースと言えるでしょう。


相談者が聞く耳を持たないケース

相談者はそれぞれが、自身にとっての理想的な解決の実現を弁護士に期待しつつ、相談に赴く傾向が共通しています。たとえば借金問題であれば、メディアが報じる「過払い金で借金相殺ばかりか手元に現金が戻って来る」結末が、どうしても頭の片隅を過ぎってしまうことでしょう。

あるいは配偶者の不倫が原因の離婚問題であれば、その後の生活に窮しないだけの十分な慰謝料を手にして当然と、相談段階から「決めてかかっている」ケースも想定されます。ですが弁護士の助言は、営業マンのセールストークや販売店の宣伝文句ではありません。

常にリスクを踏まえ、断じて楽観的な展開や、推察だけで金額や数値を口にすることはありません。これが「弁護士に頼めば100%思い通りに解決できて当然」と思い込んでいる相談者にとっては面白くありません。せっかくの助言も不愉快あるいは失礼な対応と感じられ、結果弁護士が話す内容に聴く耳を持たなくなるケースです。

こうした依頼者の相談を引き受けるという選択は、多忙な弁護士にはありません。他に抱える業務への悪影響を避ける意味でも、丁重に依頼を辞退せざるを得ません。弁護士への相談は円滑な意思疎通が不可欠であり、正しく伝え、しっかり聞く姿勢が求められます。

相談者が自分勝手なエンディングを思い描き、弁護士にそれを強要するような相談あるいは依頼は、断られても仕方ありません。

(離婚を弁護士に相談するときのポイント)

相談者が希望する解決が不可能と判断されたケース

弁護士に何らかの相談を持ちかける人に共通するのが、何らかの被害者意識です。頭のなかでは自身に非が存在することを承知していても、そこは感情を有する人間です。

トラブルを抱えた辛い日々のなか、自身を不運な被害者と捉えることでの現実逃避が、いつしか「思い込み」へと変化してしまうケースは少なくありません。ですが弁護士はあくまで法律と過去の前例に基づき、あらゆる感情を排した冷静な判断をくだし、相談者が理解できる言葉を選び、自らの見解として伝えます。

その内容が相談者の意に沿わない場合も十分想定され、一時の感情から説明途中段階で「断られた」と解釈してしまう展開も、弁護士相談に際して多々生じています。たとえば債務整理に際し、どうしても自己破産だけは回避したい相談者に、任意整理など他の債務整理方法で返済し続けるだけの収入がない場合、「自己破産以外の力添えはできない」が弁護士の回答となります。

弁護士としては自己破産のデメリットだけでなく、この選択を通じ、今後の人生を仕切り直すメリットに耳を傾けて欲しいところですが、相談者側が絶望してしまい、感情的に「弁護士にも見捨てられた」と解釈してしまうパターンです。

希望通りの対応は不可能でも、それに代わる事態の改善につながる可能性が期待できる方法を、弁護士は提案してくれます。ただし口先だけで不可能を可能にすることを相談者に期待させ、報酬を稼ぐプロフェッショナルではありません。

(学生を悩ませるブラックバイトの相談は法律のプロフェッショナルである弁護士に)

他の弁護士とのトラブルが確認あるいは懸念されたケース

以前他の弁護士にトラブル解決を依頼したにも関わらず、契約不履行から弁護士が辞任した経緯が確認された、もしくはその可能性が著しく懸念された場合、依頼を断られる場合があります。弁護士はボランティアではなく、自身の知識と資格を活用して法に携わる職業であり、報酬すなわち営利目的で弁護士活動に勤しんでいます。

個人情報保護の観点から、不特定多数の弁護士間で、依頼者のこうした前歴に関する情報を共有しているとは考えられませんが、相談内容や相談者の発言から、ある程度のリスクは察知できます。たとえば任意整理の途中で返済がふたたび滞り、改善されないことを理由に弁護士が辞任すれば、それは債権者である各金融業者側にも記録として残ります。

別の新たな弁護士がふたたび和解に向けて働きかければ、自ずとこの事実は露見します。この他相談段階で、明らかに不自然もしくは虚偽と思われる発言が散見されるなど、相談者の言動が不審であれば、弁護士は依頼を断ることで自身のリスクを回避して当然です。

本来であれば解決できる多くのトラブルが、こうした相談時の「見栄」「体裁」故の虚偽の発言が理由で、結果弁護士の力添えを得られないまま、さらなる状況悪化につながっているケースが、潜在的に少なくありません。

(土日も弁護士に相談は可能か)

相談ばかりを繰り返すケース

多くの弁護士の無料相談は1人1回が基本ですが、異なる相談内容であれば複数回の対応も期待できます。また元来の弁護士相談は、時間あたりに所定の料金が発生し、特に回数制限はありません。全体的にはわずかな事例ですが、特定の弁護士事務所に限らず、片っ端から無料相談を利用する、あるいは相談段階ばかりを延々繰り返す人がみられます。

弁護士相談が必要なトラブルは、一刻も早い適切な初期対応から、解決に向けて動き出す必要があります。たとえば借金問題であれば、こうした間にも利息や延滞損害料は膨らみ続ける一方ですし、近隣トラブルなど対人関係の問題であれば、感情面の悪化から状況の複雑化が懸念されます。

また弁護士相談の主目的のひとつとして、新規の正式な依頼を募る「営業」の一面が見過せません。多くの案件を抱える弁護士としては、同一の相談者から堂々巡りの相談を、貴重な時間を割いて対応してはいられません。こうした相談ばかりを繰り返した場合、面談の予約そのものを断られる、実質的な出入り禁止に準じた対応を取られたとしても文句は言えません。

弁護士はひとりでも多くの人たちが抱える問題を解決すべく、与えられた時間を有効活用すべき法の専門家です。相談者が自身の不安から一時的に「逃げる」目的で、弁護士の貴重な時間を無意味に独占する行為は、人としてのルール違反に抵触します。

自ら断られるようなコミュニケーションは慎まねばなりません。

(弁護士に相談すれば借金解決の道が開ける)